広告は「エモーショナル」だ。

コピーライターあがりのCD佐藤です。

7月26日、町田市民フォーラムで「新倉荘朗[タケオ]の世界」を見てきました。

タケオ氏は、アフリカの楽器サバール、ジャンベ、バラフォンからピアノ、マリンバまでをこなすダウン症のミュージシャン。2008年、本場のセネガルまでサバールを叩きにいった姿は、ドキュメンタリー映画にもなっています。

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以前ご縁があって、FBでも友達になっていただいた、ピアニストの谷川賢作さんが共演されていて、コンサートは、はじめから終わりまで、楽譜なんて一切関係ないImprovisationの世界。自由奔放な「音」による表現の豊かさに圧倒され続けてしまいました。

で、その谷川賢作さんのお父様といえば、あの詩人の谷川俊太郎さんでして、谷川俊太郎さんといえば、コピーライターとして思い起こされるのが、ネスカフェのキャンペーン広告。谷川俊太郎さんの「朝のリレー」という詩をベースにテレビ、新聞等に展開した、ちょうど10年前、2004年の広告で、もろもろの賞を受賞した名作中の名作―ですから、覚えている人の方が多いと思います。

「朝のリレー」という詩は教科書にも載っていて、ある年代では誰もが知っているメジャーな詩なのですが、恥ずかしながらもCMが初見だったので、恐れ多くも「あんなコピーがかけるコピーライターがいるのか」と、かなり嫉妬した記憶があります。ほどなく谷川俊太郎の詩であることが分かり「そりゃそうだろうなぁ」と、かなりホッとしたものです。

聞くところによるとあの広告は、「朝のリレー」が大好きで、ぜひ広告に使いたいという広告マンが足しげく谷川俊太郎さんの元に通い、その情熱によって実現した企画だそうです。

10年前もそうでしたが、レスポンスを優先するあまり〈便利・安心・お得〉といった直接的な表現ばかりが目立つ昨今の広告。ですが『圧倒的なクリエイティブの表現力によって、人の心までをもを動かすことができる、鋭い切り口を持った広告を一本でも多く手掛けたい』という情熱だけは、いつまでも失わずに広告をつくり続けていきたいものです。

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