デザイナーKです。
バイクをハーレーダビッドソンに買い換えました。
最初は国産のある大型バイクにしようと思っていました。
購入前にはハーレーに対して、少しの憧れはありつつもスタンス的には中立か、
価格に対する性能や見るからに乗りにくい乗車姿勢など
わずかにアンチ的な見方を持っていました。
それがどういうわけでハーレーに至ったのか。
それにはそれなりの体験と体感がありました。
http://www.harley-davidson.com/content/h-d/ja_JP/home.html
1.まあ、そんなもんだろ
今までバイクを買っていた店は新車の大型車も、
中古の原付もメーカー問わずなんでも揃うのが魅力で、
そのためかどうか判らないけれども、正直接客対応は期待していなかった、
というか、はっきり言うと『悪かった』のです。
顧客担当も決まっておらず、半年に一度の点検で訪れても待ち時間にコーヒーが出ればいい方で、
用事がある時はカウンターの奥で一心にPCに向かうスタッフに間延びした声で
「あのう」と声をかけるのが常。
サービスマンの腕は悪くなかったが、営業は売りっぱなし、という感がありました。
なにしろ販売の時に見積もりを作った営業がこちらの顔すら覚えていないのですから。
一応擁護しておくと、倉庫並みに大きな店で展示をするため常に多数の在庫を抱えるスタイルであり、
量が出るのはやはり原付、中古ともなればわずか数万円からの売上に人員を割くのが難しいのかな、というのは想像できなくもありませんが。
他のバイク屋にしてもだいたいそんなものだったので、まあそんなもんだろ、と思っていました。
今回買い替えのバイクを見ようと同店に行ったときもいつもの調子で、
あるスタッフは他の客と商談、あるスタッフはガレージでサービスマンと打ち合わせ。
『まあそんなもんだろ。手が空いたら聞いてみよう』と勝手に店内を見てまわり、
そこそこ広い店内を一回りしてみてもどうやら状況は変わらず。
お目当のバイクも展示はないようだし、まあそんなもんだろ、とこの時は店を出ることにしました。
行ったことはありませんでしたがその先の別の店に試乗車があるのを調べてあったのです。
2.まあそんなもん、じゃなかった!
そしてその同じ国道沿い、目的の店への途中にあったのがハーレーのディーラーでした。
店があるのは知っていましたが、見るだけはタダと入ってみると、先程までの倉庫然とした店とのギャップに驚きます。
アパレル店のように整った内装に、広々とゆったりと10台前後展示されたハーレー。
奥にはウェアや用品が煌びやかに並び、
『この小汚い格好(バイクウェアでした)で入っていいのかしら…』と躊躇すら覚えるほどのかっこよさ。
中央に唯一名前(というか型番?)のわかるバイクが置いてあり、
ほほう近くで見ると案外いいな、
などと眺めたり跨ってみたりしているとしばらくして営業の方が声をかけてくれました。
タイプごとの違いや細かい質問にも丁寧に答えてもらい、
店頭に大小3車種あった試乗車にトライさせてもらい、
ロゴ入りの書類カバーに入った見積もりにこれまたロゴ入りのボールペンでサインをしたらそのまま試乗の記念にとプレゼント。
帰りにはキャンペーン中ということで焼き菓子のセット。
あのう、まだ買うって言ってないんですけど…、
と恐縮すると同時に、ほぼ同じ価格帯のバイクを買おうというのにこの差はなんなんだろうとこの時点でびっくり。
驚きを抱えたまま当初の予定の試乗車がある店に行ってみても、
対応はそれほど悪くはないけれどバイク屋の平均的な対応で、
バイク自体はとてもいいのになあ、と思うばかり。
仕上げにもデザインにも、装備の充実具合にも文句のつけようがない国産。乗り味も悪くない。
スタイリングはともかく、文句をあげたらキリがないけれど、乗れば底抜けに楽しいハーレー。
商品力自体は甲乙つけがたく、見積もり価格にもそれほど差は出ませんでした。
輸入車は初めてなので故障が心配になり、ネットで色々調べる過程でディーラーのウェブサイトを訪れると、サービススタッフも含め店舗のスタッフ全員の顔写真と氏名が記載され万一故障しても信頼はできそう。
そういえばディーラーの駐車場看板にもサービススタッフの写真がありました。
国産はあまり壊れたりはしなさそうだけれど、本人的には清水の舞台、
とまでいかなくともリベラルの二階くらい上から飛び降りるつもりで買うわけで、
ディーラーの対応まで考えるに、『そんなもんだろ』はそんなもんじゃいけないんだなあと思い、
翌週には気がつくとハーレーの注文書にハンコをついていたのでした。
3.今回の体験でびっくりしたこと
対応もさることながら、納車前後でも色々びっくりすることがありました。
まず納車前に渡されるバッグ。
バッグ自体もノベルティ(それ自体はあまり高品質とは言えませんが)。
中にはないと困るインチサイズの工具(米国製なので)、フォトスタンド、
洗車キットのサンプルと使い方のビデオディスク。そして謎のハコ。
国産ディーラーでは店舗単位のツーリングのチラシやグッズ割引券だの
ご紹介キャッシュバックがせいぜいだったのでこんなにもらっていいのかしら、とビックリ。
開けただけでワクワクするハコはこの歳になるとあまりない。
デザインもコピーもなるほど気が利いている。
右は取説。
左はハーレーオーナーズグループ(HOG)について。
その下にはちょっとした辞典並みに分厚いカスタムパーツカタログ。
左のハコの“HOG”(https://www.hog.jp/)とは、
世界でおよそ100万人、国内3万5千人を抱えるクラブで、オーナー同士の交流、バイクの楽しみ方を深める各種イベントやプログラムをメーカー主導で行うグループ。
ハーレー購入初年度は無償で加入になるそうです。
ライディングレッスンや会報誌、ロードサービスなど様々なサービスに加えて加入時や更新時に渡されるマップも充実。
書店で買えば数千円の某ツーリングマップと構成は似ているようですが、
各地の名所やハーレーのディーラー網が記載され、週末どこへ行こうかな、とパラパラ見ているだけでも楽しい。
このマップの名所やディーラー網を巡って写真やスタンプを集めるとグッズがもらえるラリーなどもあるようです。
納車後もバイクといえばホンダくらいしか知らない母もハーレーは知っていたし、
納車直後に2軒隣のおじさんも「なんだハーレー買ったのけ?」と見に来てくれたり。
会社でハーレーを買ったと話すと、バイクに興味のある男性社員はもちろん、
およそバイクに興味はないであろう女性社員までもが駐車場に止めたバイクを見に来てくれたことに、やはりハーレーの知名度はすごいのだなあと大変驚きました。
この納車前後の一連の出来事は知名度だけでもなく商品力だけでもなく、
大げさに言えば某テーマパークの体験にも似た驚きと非日常感を伴う体験でした。
ハーレーの取り組みとして、興味のある人には体験してもらおう、
ということで各地の教習所やお台場などクローズドコースで開催される“免許がなくても楽しめる試乗会”を開催し、まず興味を持ってもらう努力。
その中から購入を検討する人には清潔感のある店舗・イメージ統一されたカタログ・グッズなどを用いた体感の提供と丁寧な対応(といっても四輪車ディーラーでは普通といえる程度ですが)。
実際の購入後にはHOGの活動やマガジンを通してハーレーの楽しみ方の提案など、
ただバイク本体を売るだけとどまらない様々な活動が
ハーレーというメーカーに『ブランド力』と『ファン』を生み出しているのでしょう。
価格に対する性能的には決して一級とは言えないハーレーを、
大型の中では常にトップ3に入る売上台数を誇るメーカーに押し上げているのは私も感じた通り、
一連の体験を通じた安心感、満足感。
すなわち顧客満足ということになろうかと思います。
リベラルも顧客満足度アップを目指す企業、まずはお客様に心地よい体験をしてもらわなければ、と思いました。
では早速皆さんにもツーリングの体験を…。
走行部分はできるだけノーカットで作ったので長く、間延びするかと文章多めです。
試写してみたら文章読んでしまって映像が目に入ってこないというね…。