顧客の姿が見えたところで、自社の商品(サービスでも、業態でも、会社自体でもいいんですが)の適切なアピールポイントを確認していきたいと思います。
「そんなの当然わかってるよ!」って方、箇条書きでもいいので、書き出してもらえますか?
商品の「強み」と「弱み」を書き出してみよう
書くことって、大事なんです。頭ではわかっているつもりでいたことが、書き出せなかったり。
「あれ、これ調べなきゃ!」って思うこととかが、必ず出てくるはずです。書いてはじめて、自分が思っているより、知らないことが多いことに気づくはずです。
では、最初から考えてみましょう。そもそもアピールポイントって、何ですか?どうやって決めているのですか?
たいていの場合は、競合の商品と比べてみて、どこが勝っているか、で決められているはずです (というより、どこか勝る商品しか開発されていないはず!)。
確認のためにも、競合商品を調べて、スペックや特長を見比べてみましょう。勝ってるポイントと劣ってるポイントがあるはずです。
勝ってるのは「強み」。劣っているのは「弱み」。そして、商品が売れる売れないは、商品のおかれる環境(景気、業界全体の動向)によりますので、その要素も含めて考えなくてはいけません。
そうすると、その外的要因に対する「強み-機会」「弱み-脅威」も検証しなくてはいけませんね。下のような図になるはずです。
さあ、それぞれのマスを埋めていってください。
そうして見比べていると、自社の商品が他の商品群の中でどのような位置にあるのか。また今、市場を見たときに「何がチャンスで」「何に備えなくてはいけないか」が見えてくるはずです。
S:強み、W:弱み、O:機会、T:脅威の頭文字をとってSWOT分析といいます。
商品を取り巻く環境による影響と現状分析をしながら、商品のビジネス機会、よりよいアプローチを発見します。
宣伝計画や経営戦略までも見通せるSWOT
具体的に使用例を見ていきたいと思いますが、人気小説であり、TVドラマでもヒットした下町ロケットを題材にした面白い事例が載っていたので、転載します。
部品供給は思いつきではなかった!?
今回は、ロケット編初期とガウディ計画編初期の佃製作所のSWOT分析を行ってみた。 もしかしたら、影の立役者である殿村経理部長も佃製作所を危機から脱出させるべく、こんなSWOT分析をしていたかもしれない(あくまで想像だが)。
まずは、ロケット編初期のSWOT分析だ。物語の序盤では、主要取引先からの取引停止、白水銀行からの融資打ち切り、ナカシマ工業からの特許訴訟、そして帝国重工からの特許買い取りといった脅威となる出来事が次々と襲いかかる。 そういった外部環境を受けて、社内でも反乱分子が発生してしまい、後々バルブすり替え事件が発生してしまう。
佃製作所のSWOT分析~ロケット編
例えば以下の戦略オプションが考えられる。 物語初期の戦略オプション
- 1. 強み×機会…特許や熟練工による精度の高い技術で帝国重工のロケット開発に関わり、国産ロケットを実現する
- 2. 強み×脅威…技術力や丁寧さ、中小ならではのスピード感で帝国重工の特許買い取り圧力をチャンスに変えていく
- 3. 弱み×機会…帝国重工との取引実績をつくることで、営業力の強化を行い、赤字を改善していく
- 4. 弱み×脅威…ナカシマ工業と和解し、傘下に入ることで、営業力を強化する。反抗的な社員に対して安定的な生活も提供する
さて、佃製作所はどのような戦略を取って行ったのだろうか。
まず、佃社長は自身の夢もあり、(1.強み×機会)の戦略を選択したものの、その後、帝国重工の部品供給テストでさらなる圧力を受ける。
しかし、技術力や丁寧かつスピード感のある対応でピンチをチャンスに変えていく(2.強み×脅威)。
ナカシマ工業との特許訴訟では、一度は、ナカシマ工業の傘下に入ること(3.弱み×脅威)を検討するが、救世主とも言える神谷弁護士の機転により、逆訴訟を行い、結果的に和解金を得て資金繰りを改善し、帝国重工への部品供給に弾みをつけた。
そして最終的には、帝国重工との取引実績をつくることに成功し、営業力を強化することに成功した(4.弱み×機会)。
このように、たった4マスのSWOT分析ですが、商品のプロモーションはもちろん、宣伝計画や経営戦略までも見通せるマーケティングの基礎でもあります。
小さい規模のプロモーションでしたら、外的要因ははぶいてもいいかもしれませんが、強みと弱みの分析ぐらいは、しておきたいですね。