少年時代

最近暑くて暑くてかなわんすね。

我々営業は外回りという炎天下の中コンクリジャングルを闊歩するという活動をしているのですが、これがそれはそれは地獄。

皆さまもこの季節営業マンがやってきたら、普段より広めのホスピタリティーで迎えてやってください。奴らは職業柄元気っぽい感じできますが、実際はほぼ死んでます。

いつからだろう、夏がこんなに嫌いになったのは、

子供の頃はあんなに楽しかったのになぁ。

僕は子供の頃福島県に住んでいたんですが、夏になるとカブトムシをハントしに行っていたわけです。いつもは子供だけで行くんですが、ある日松尾さんという近所のおじさんがカブトムシ取りとは何たるかを教えてくれるという日があったんです。

「俺はカブトムシがたくさん出るスポットを知っている」

僕らはこの言葉に初めて大人を感じました。大人が知っているカブトムシスポット。。。

やべぇ大人の仲間入りすんぞとワクワクが止まらんかった。

そこは車でしか行けないホットスポットで、確かにカブトムシやらクワガタやらがわんさかいたわけです。が、そんなホットスポット。ハチやらの危険なお友達も相席しておるわけです。

「おぃぃ、松尾ぉぉぉ取れなきゃ意味ねぇだろ、、、。鑑賞しに来たんじゃねぇんだよ」とせっかく連れてきた優しきおじに落胆フェイスをぶつけるクソガキども。そんな我々に松尾さんは漢を見せました。

「俺がとってきてやる。下がってな」

まじかっけぇじゃん、松尾。。。

再び松尾さんに大人の後光がぶち差した瞬間でした。

雑木林に入っていく松尾さん。装備はタンクトップ。

今思えば少年たちの熱いまなざしが、松尾さんにとっての最大のお守りだったのでしょう。

 

雑木林の奥の方から「あっっ」と松尾さんの小さな悲鳴が聞こえました。

「大丈夫ですかぁ?」心配する俺ら。

「大丈夫だ!心配すんなぁ」その返答に胸をなでおろす。

 

数分後、全然大丈夫じゃない右手でカブトムシを捕まえた松尾さんが帰還しました。

「やべぇめっちゃ手腫れてる。。。。絶対刺された」我々は何も言えませんでした。

涙を浮かべながら「大丈夫」を連呼する松尾さん。

きっと大丈夫じゃないと分かりつつその言葉を受け止める小学生。

腫れた右手で空気を読まず暴れるまくるカブトムシ。

あの光景を僕らは忘れない。

 

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